公園長ブログ 2019ボルネオツアー②

みなさん、こんにちは、公園長の瀧川です。

 

6月28日(金)ボルネオツアー2日目です。朝6時に集合し、コタキナバルから空路サンダカンへ向かいます。まずは、セピロック森林保護区のオランウータンリハビリテーションセンター(1964年設立)とサンベアーコンサベーションセンター(2008年設立)へ、朝のスコールはすっかり上がり、熱帯の青空が少しずつ顔を覗かせています。ボルネオでは保護されている森と、開発されたエリアとでは驚くほどの違いがあります。森林保護区では、木々が、高く高く、空の中に消え入るような高さに梢を伸ばし、足元は濃密なジャングルで、動物たちの鳴き声が響き渡る生命あふれる森です。一方、開発されたエリアは、ほとんどがアブラヤシの畠となり、50㎝ぐらいの深さに刻まれた水路と水路の間に規則正しく植えられたアブラヤシは単一の植生で、人間がコントロールする静寂の空間です。

 

 

 

 

 

 

 

まずは、リハビリセンターのバックヤードへ、ここでは、一般公開はしていませんが、孤児となったボルネオゾウを保護しています。生れて間もなく保護され、現在は3歳~5歳の子供たち、粘土層の池で数頭が泥遊びをしています。その運動量のすさまじいこと、家畜用のミルクだけで育った彼らですが、その元気な姿に、マーラをはじめとする、日本国内の人工飼育ゾウが、次々と若木骨折した理由がよくわかります。太陽の下でのゾウ同士の遊びや運動が骨の成長にどれだけ大切なものだったのか、これは人間ではとてもできない。ゾウのミルクはBCTJ(ボルネオ保全トラストジャパン)が支援をしているため、在庫(ニュージーランドから届いたばかりの粉ミルク)を女将の森井さんがチェックします。全ての孤児ゾウの命が助かっているわけではありませんが、遠い日本からの支援で、かろうじて、貴重な命がつながっています。

 

 

 

 

サンベアー(マレーグマ)センターでは、高いプラットホームから、熱帯の森を観察できます。地面を掘って虫を探す個体や木々に隠れるように移動する個体、木々によじ登って、何かを探しているような個体、昨年来た時よりも明らかに個体数が多い、説明では保護数は現在60頭ほど、私たちが見ているゾーンは森に返すリハビリの最終過程の森です。この施設は個人で運営されている施設ですが、支援のシステム作りなどが、とても上手で、その豊富な資金で、保護個体を多く野生に戻しています。

 

突然、横浜金沢から参加した安藤君が、大きな声で、みんなを呼びました。「なになに」と集まってみると、そこには巨大なイモムシと安藤君のにこにこ顔、以後、彼はツアーの昆虫担当として頭角を表すことになります。

 

 

 

 

 

 

 

昼食をはさんで、オランウータンのリハビリセンターへ、ここは、世界で最初に設立されたオランウータンの保護施設、ここで活動するボランティアは有料ボランティア(施設がお金を支払うのではなく、ボランティアが参加料を支払うシステム、日本ではちょっと考えにくいですね。)オランたちが人間に慣れないよう、数か月で交代するようです。あくまで、運営はサバ州野生生物局ですが、欧米からの支援がかなり入っており、エコツアーなどとの連動プログラムも充実しています。

 

突然、親子のオランが森の中から現れました。赤ちゃんをぶら下げたお母さんは、人間を怖がる風でもなく、観光客にその姿を見せつけるようにして、施設内を移動します。実はこのお母さん、この施設育ち、森へ帰還後も施設との結びつきがとれていません。こういた個体は結構多いようで、野生化への道のりは、険しいようです。

 

 

 

 

セピロックで、だいぶ時間を使ったので、急いでゴマントン森林保護区へ向かいます。サバ州最大の洞窟は、アナツバメとコウモリでいっぱい、上部には、ツバメの巣の盗掘を監視する小屋が断崖にへばりつくように立っています。東京ドームをも思わせる大空間の中には、遊歩道が頼りなげに続いています。地面は降り積もった糞を食べるゴキブリ天国だと聞いていましたが、最初は「たいしたことないね、ふんふん」と鼻歌も出ていたのですが、奥に進むにつれ、地面はもとより、木のデッキや手すりまで、ゴキブリでいっぱいに。目をつぶっていきたいところですが、デッキは滑りやすく、転倒なんて、おぞましいことは考えたくもありません。緊張感MAXで進んでいると、後ろの絵描きの池田さんが「ねえ ねえ 瀧川さん みて みて 白いゴキブリがいるよ」とわざわざ報告してくれました。今回の女性陣のなんと強いことか。そういえば、豊橋チームのアザラシ女子やイラスト娘は、イモムシは手に乗せるとかわいいと、信じられないことを言っていたような・・・

 

残念ながら、ドラゴンフライ(コウモリの大規模な集団飛行)は見れませんでしたが、洞窟までの木道上で、幾匹かの野生のオランウータンに出会うことができました。しっかりと保全された熱帯雨林のなんと豊穣なことか。

 

その日の宿は、キナバタンガン川のほとりに立つマインリゾート、清潔なベットとシャワーがあるリバークルーズやジャングルウォークの起点となるロッジです。やがて、遠く上流では、雷雲が光はじめました。

 

 

 

 

 

 

 

「夜 景」

 

闇に横たわる

キナバタンガン川

星屑の向こう

かすかな雷鳴

 

熱帯のスコールは突然で

ささやかな抵抗も

全て無力化してしまう勢いだ

 

森で出会った

あのオランウータンの親子は

今頃どうしているだろう

 

葉っぱで身をかくした母さんの

暖かいふところの中で

小さな命は

じっと雨の音を聞いているのだろうか

 

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