その名は【炎】を意味する

覚悟してくださいね、長くなりますよ。

 

 

 

ラテン語で【炎】という意味の名前をもつ動物。

肢と首が長い動物。 (キリン!・・・ブッブ~)

水掻きをもつ鳥。

嘴が【へ】の字に曲がっている鳥。

 

 

 

そして最大の特徴。皆の目を引く体色、鮮やかな【ピンク】。

この動物は、野生だと塩湖などで何千羽もの群れを作り、あたり一面をピンク色に染めます。

 

 

ピンク色が動く様を炎の揺らぎと例え、名の由来が【炎】となったそうです。

 

 

 

 

さてさて、序章はこのぐらいにしまして。

ここからはフラミンゴ担当者、叫びますね。

 

 

チリーフラミンゴとベニイロフラミンゴを担当して10ヶ月が経ちました。

皆さんにお話したいことが沢山あるのです。

今年は感染症拡大防止のため、一切の動物ガイド等が中止となりました。

当園のフラミンゴたちが過ごした怒涛の数か月を、皆さまにお伝えできる機会がめっきりなくなってしまい…。寂しく感じていました。

と、思ったら!ブログの当番が回ってきましたぁぁぁ!(チャンス)

 

 

 

結論から申し上げます。 卵を産みました(*^▽^*) やったっ!

 

 

 

当園では5年間産卵がなく、7年間繁殖が止まっていました。

そして4年前、現在フラミンゴが暮らす郷土エリアへとお引越ししました。

しかし、フラミンゴは日本に生息していません。

なぜフラミンゴが郷土のエリアにいるの?とよく質問を頂きます。

実は、コウノトリの部屋を一時的に借りているだけなのです。

なぜなら、フラミンゴ用の鳥舎が現在無い状態なのです。

園内整備等の理由で旧フラミンゴ舎の取り壊しが決まり、新フラミンゴ舎が出来るまでコウノトリ舎の一部を借りて暮らすことになりました。

 

そのさなか周りの方々から言われたこと。

『フラミンゴには向かない施設だから、ここでの繁殖は無理だね』と。

 

コウノトリ用に設計されていて、フラミンゴには不向きの鳥舎だそうです。

確かに、両隣には大きな別種の鳥がいて(コウノトリとタンチョウ)、前方も後方も人が通る造りで(観客通路とキーパー通路)、

フラミンゴが安心して産卵できる空間はありません。

実際に、お引越ししてから繁殖行動はあまり進まず、産卵していません。

 

私は、たとえフラミンゴがどこで暮らしていても、心身ともに健全なのはもちろんのこと、心豊かに生きて欲しいと思いました。

だから、諦めたくはありませんでした。

 

心を豊かにするには…。

繁殖がうまくいけば、群れのバランスは変わり、全個体に刺激を与えます。

親へと成長する心の変化、子育てをしている個体を横目で見る心の変化、新しく生まれた個体にゆくゆくは恋をする心の変化。

群れの仲間が新しく増えるという環境変化が起これば、自ずとと心は豊かになると考え、繁殖に取り組むことを決意しました。

 

 

そして、繁殖行動が始まった段階で、すでに群れ全体の心は動き始めていました。

そんなフラミンゴの、ここ数か月のお話しです。

 

 

 

 

*4月*

営巣地(鳥が巣作りをする場所や区域のこと)をどこにするか、それを決めるところから始まりました。

観客通路から見て右奥のコーナー付近にしました。一番人から遠い位置です。

ここからは、フラミンゴが繁殖行動を行う上で必要不可欠なものを準備していきます。

それは、【水】【湿った土】【安心できる場所】です。

フラミンゴは土や泥などで塚をつくり(営巣という)、その上で産卵します。

営巣の際は、土を水で濡らし、湿っている土を毎日少しずつ塚に積み上げるようにして構築します。

そのため、首を伸ばして届く範囲に水と土があることが理想です。

 

それらの条件を満たす為、以下の点に着目しました。

①川づくり ②土入れ ③土を耕す ④散水 ⑤目隠し設置

 

 

土は毎日耕し、散水を行い、常にフラミンゴが営巣に使用できる状態を維持するよう心がけました。

飼育員が営巣地で様々な作業を行うと、数日寄り付かないこともありました。

しかし、次第に飼育員のその様な行動に慣れたのか、はたまた繁殖意欲増進の影響なのか、営巣地に寄り付くようになりました。

 

 

まずは土を触ってもらうことが繁殖への第一歩でした。

 

 

 

 

*5月*

群れの半数が営巣地にいます。なにやらとっても騒がしいです。

 

隣り合うフラミンゴ同士で、ガァガァ鳴き合い、首を左右に振り、時には嘴で相手を攻撃しています。

これは、より良い場所に自身の塚を作るため、場所取りのケンカをしています。

「あっちいけぇ!ここは僕のものだぁ!」と叫ぶように、他個体を蹴散らします。

あれれ?なぜか1番近くにいる個体にだけは攻撃しません。

その個体はペアである相方のようです。

 

フラミンゴはおおよそ2~3月ごろから、繁殖期間を共に過ごす相手を見つけようと動き始めます(相手が見つからない個体もいます)。

 

ペア同士は本当に仲睦まじく、ずっと寄り添います。ごはんを食べるも、寝るも一緒。

月日が経つと、同じ行動を同じタイミングで行います。

寝方が一緒だとか、水浴びの仕方が一緒だとか(*^-^*)

相方が他個体から攻撃を受けた時にはもう、割り込んで壁になって守る個体もいれば、攻撃してきた相手を追いかけ回して怒ってみせたり、はたまた、相方を置いて足早にその場を離れたりする個体もいます。しかし、その後ろを相方は必ず追いかけてくるので、そういう手法かもしれませんね。笑

寄り添い方のスタイルが七色にありました。

じっと見ていると、皆さまも容易にペアを見つけることが出来ますよ!

 

 

5/19 今シーズン初の営巣跡を確認しました(^^♪

 

 

始めはただの凹みでした。それが2か月後こうなります↓

 

 

私は何も手伝っていません。

嘴の先で掴める土の量は、ビー玉以下サイズ…。

塚の表面に付いている丸い土がまさに、一口サイズです。

2羽でここまで積み上げました!(パチパチ)

 

 

このような形で、塚はポコポコ出来ていきました。

 

 

嬉しいことに、現在までに16個の塚を確認しています。

 

 

 

 

*6月*

この頃から交尾が確認できる頻度が増えました。

塚も少しずつ増え、拡張し,その上で座り込む個体が、ちらほら出てきました!

良い兆候です。そのままポコンと卵を産んでおくれと願いました。

フラミンゴは大体、梅雨の時期から秋が終わる頃まで産卵します(例外もあります)。

 

 

6/10 ・・・え。うそでしょ?・・・本物!?!?!

あの日は本気で叫びました。今シーズン初の卵を確認しました(;_;)

 

 

 

あの時の光景は今でも忘れません。

「なにそれ卵?」「私に温めさせて」と言うように興味津々で卵に近づく個体もいれば、ものすごい勢いで営巣を開始する個体もいました。

今まで営巣地に近づきもしなかった個体が、「お邪魔します」と言わんばかりに土をいじっていたり、新参者を我が塚に近づけまいと、鬼のディフェンスをしたりする個体もいました。

当の親2羽は周りの変化に驚きを隠せず、おろおろしていました(元々控えめな性格というのもあります)。

そんなこんなで、その日の営巣地は大盛況でした。

 

 

あれほどにも、フラミンゴの心が動いた瞬間を見たのは初めてでした。

仲間の産卵に感化され、繁殖意欲が増進し、全羽が1つの卵に影響を受け、フラミンゴ同士の関係性も少し変化を見せました。

 

 

 

 

*7月*

6月に産んだ卵の孵化予定日が近づいていました。

フラミンゴは約28日間抱卵(鳥が卵を抱えて温めること)し、雛が孵化します。

 

 

幾度と待っても孵化はせず…。結果は無精卵でした。残念。

 

 

長かった梅雨が明けました。

なにか変化をもたらそうと、目隠しを増やしたり、土を大量に足したりしてみました。

その数日後・・・。

 

7/29 産卵しました!よしっ!

そう思った次の日。

卵は割れてしまいました(破卵という)。

 

今回の破卵は、完全に私のミスでした。

 

産卵した場所が塚の上ではなく、ちょっとした凹みでした。

親は産んだ後から営巣を始めました。

そこは、土が少ない場所だったため、親に移動してもらい、卵の周りにのみ、土を足しました。

これが大きな間違いでした。

卵の周辺にしか土を足さなかったばかりに土欲しさなのか、親が移動し、無防備な卵を他個体が抱きたくなったのか、突如他個体群がり始め、7羽での大乱闘が始まりました。

親は何度も卵のところへ戻ろうと試みます。

ケンカはヒートアップしていきます。7羽共、始めは他個体に対して攻撃していました。

それが段々と我を忘れたかのように、卵にまで攻撃し始めました。

まずい!と思った瞬間でした。パリン。

フラミンゴの嘴が卵に突き刺さりました。

 

 

私は衝撃を受けました。あれほどまでにフラミンゴが狂暴になるのかと。

繁殖意欲というものはここまで動物を掻き立てるのかと。

産卵した個体にも、ケンカをした個体にも、割ってしまった個体にも、それぞれ違った思いがあって、私はそれらすべての気持ちを汲み取ることが出来ず、寄り添えていませんでした。

反省です。

私が割ってしまったという悔しさが残りました。また、関わりすぎてもダメ、何もしなさ過ぎてもダメ、という塩梅が難しくて悩みました。

 

 

 

 

*8月*

2卵目が破卵してからすぐのこと。

その時は突然来ました。

 

8/2 3卵目産みました!

8/4 4卵目!

8/9 5卵目!

・・・・・・・(以下省略)

ポンポンポンポ~~~ンと、現在に至るまで11個の卵を産みました(*^-^*)

 

 

 

突然の卵ラッシュでした。

 

 

このことを担当獣医さんに報告すると、『あの時フラミンゴが卵を割ったから、今産卵してるんだよ。』と言われました。要するに、卵を割った、割られた、目の前で割れた、と言う事柄が刺激となり、繁殖意欲を増進させ、産卵ラッシュに繋がったという事のようです。

 

『なるほど。』と思ったのと同時に、『なんて複雑な。』とも思いました。

 

素直でまっすぐで綺麗なフラミンゴの感情は、群れ全体で交差し、複雑なものへと構成され、より清らかなものへと進化するのだと感じました。

 

 

そんなフラミンゴが頑張って産んだ卵。

無精卵や破卵等を数々経験し、現在5つの卵が残っています。

卵を産んだだけでは繁殖成功とは言いません。

有精卵を産んでもらい、雛を孵化させ、無事成長させることで成功です。

 

9月に入ると怒涛の孵化予定日がやってきます。

今からワクワクドキドキです。

 

 

 

これからも、心豊かに、生き生きと。

刺激的な毎日に心を躍らせて、そんな楽しい毎日を送ってほしいと思います。

 

 

 

 

 

フラミンゴ担当

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